数学に詳しくない私ですが、先日のニュースで京都大学の柏原正樹特任教授がアーベル賞を受賞したと知り、この賞について調べてみました。どうやらこれは数学界では非常に権威のある賞で、日本人初の受賞とのことで、その意義を理解したいと思いました。
アーベル賞とは
アーベル賞は2003年に創設された比較的新しい賞で、「数学のノーベル賞」とも呼ばれる最高峰の栄誉です。ノルウェー政府が設立し、ノルウェー科学文学アカデミーが選考を行います。賞金は750万ノルウェー・クローネ(約1億円)と高額で、数学分野で顕著な功績を残した研究者に贈られます。
この賞は数学者ニールス・ヘンリック・アーベルの名を冠しており、数学界では最も権威ある賞の一つとされています。ノーベル賞に数学部門がないため、アーベル賞とフィールズ賞が数学者にとっての最高の栄誉とされているようです。
数学にノーベル賞がないのは知りませんでした。アーベル賞はその代わりとなる重要な賞なんですね。
フィールズ賞との違い
調べていくと、数学には「フィールズ賞」という有名な賞もあることがわかりました。両者の違いは主に以下の点にあります。
- フィールズ賞は40歳未満の若手数学者が対象で「若手の登竜門」的な位置づけ
- アーベル賞は年齢制限がなく、生涯の業績を評価する賞
- フィールズ賞は4年に1度の授与、アーベル賞は毎年授与
- 賞金額はアーベル賞の方が格段に高額(約1億円 vs 約1500万円)
フィールズ賞は若手向け、アーベル賞はベテラン向けというイメージなのかもしれません。柏原教授は78歳での受賞ということで、長年の研究成果が認められたのですね。
フィールズ賞を受賞した日本人数学者たち
実は日本人のフィールズ賞受賞者は、これまでに3名います。最初の受賞者は1970年に選ばれた広中平祐氏(京都大学)で、「特異点解消」に関する研究で受賞しました。2006年には、京都大学の森重文氏が代数幾何学の研究で受賞。そして2014年には、京都大学出身の望月新一氏が「宇宙際タイヒミュラー理論」で受賞しています。
日本人のフィールズ賞受賞者3名はいずれも京都大学出身という点が興味深く、また今回のアーベル賞受賞者・柏原教授も京都大学所属であることから、京都大学の数学研究の層の厚さが際立っています。
日本人のフィールズ賞受賞者が3名もいたとは驚きです。しかも全員が京都大学関係者というのは、京都大学の数学研究の伝統の深さを感じさせますね。
柏原正樹教授の業績
柏原教授は1947年生まれの78歳。京都大学数理解析研究所の特任教授を務めており、専門は「代数解析学」という分野だそうです。ノルウェー科学文学アカデミーによると、受賞理由は「代数解析学の基礎を確立し、D加群理論と結晶基底理論を発展させたこと」とのこと。
正直なところ、これらの専門用語は数学に詳しくない私には理解が難しいのですが、柏原教授の研究は代数学と解析学という数学の二つの大きな分野を橋渡しする革新的なものだったようです。その理論は物理学や工学分野への応用にも繋がっているとか。
専門的な内容は難しいですが、異なる分野を繋ぐ理論を作ったことが画期的だったようですね。応用にも繋がるというのは素晴らしいことだと思います。